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13.猫の肥大型心筋症(HCM)

13 猫に最もよく見られる心臓の病気で、心臓の筋肉(特に左心室の壁)が異常に厚くなる病気です。

この肥厚によって心臓の内部が狭くなり、血液をうまく全身へ送り出せなくなったり、血液の流れが悪くなってうっ血性心不全を起こしたりします。

うっ血を起こすと、肺の中に水が貯まる肺水腫や、肺や心臓などの胸部の臓器の隙間に水が貯まる胸水症を起こします。

また、血の塊ができやすくなり、その塊が大事な血管に詰まってしまう動脈血栓塞栓症を急に引き起こし、極めて死亡率の高い合併症です。

多くの場合、原因は特定されていませんが、以下が関係しています。
・遺伝的要因:純血種に多く、メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘアなど
・二次的な原因:高血圧や甲状腺機能亢進症に伴うもの

症状
初期には無症状のことが多く、徐々に進行する場合は気づかれないことが多いです。
よって今までは元気だったのに、急に発症することもあります。
特に肺水腫や胸水による呼吸困難や、動脈血栓塞栓症による後肢の麻痺は命に関わる危険な症状です。
最悪、突然死するようなケースもあります。

一般的には
元気や食欲がなくなり、咳が出て、呼吸が速い・苦しそうになることが多いです。

検査
聴診、血液検査、心電図、レントゲン検査、心臓エコー検査など

治療
二次性の心筋症を除き、根本的に治す治療法は今のところありません。

血液循環を改善させるために、お薬を使って心臓の機能をサポート、症状や進行を緩和する治療が中心となります。
肺水腫がみられる場合には利尿剤を使用し、胸水が貯まっている場合には胸に針を刺して胸水を抜く治療を行うことがあります。

進行によって呼吸困難が続くようであれば、酸素室に入って少しでも多くの酸素を取り込める環境を作ります。

血栓塞栓症が発生した場合は、手術で取り除くか、血栓を溶かすお薬で治療を行います。できる限り早く治療を開始することが大切です。

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