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10.血管肉腫

更新日時:2020.03.01

血管にできる腫瘍で、脾臓、肝臓、心臓、皮膚などによくできる悪性腫瘍です。

①内臓に発生した場合(脾臓が多い)は、その腫瘍細胞が周囲へ広がりやすく、予後は非常に警戒が必要です。 よって、転移率が高く(70~80%)、特に肝臓に転移している症例では予後は非常に悪いです。
また、時には内臓腫瘍の破裂により、腹腔内や心外膜(心臓の外側を包む膜)内に血液が貯留して死亡する場合もあります。
腫瘍が脾臓にできたとき、15~25%で心臓にも存在する確率があります。

②皮膚の血管肉腫は内臓の腫瘍と比べると侵襲性は弱く、転移も比較的少ないです。
しかし悪性度が高い場合、全身の皮膚に転移することがあるため十分な注意が必要です。

この腫瘍は、中~高齢の犬(平均8~13歳齢)に多くみられ、猫では比較的まれです。

好発犬種は、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、シェパードなどです。


症状
元気・食欲の低下、歩行を嫌う、貧血(腫瘍からの出血で、さらにひどくなることもあります)、 腹部膨満、血小板の減少、心臓に病変がある時は不整脈や心不全による呼吸困難など

検査
血液検査、レントゲン・エコーなどの画像診断、可能であれば針吸引による細胞診などで暫定診断し、最終的に病理検査で確定診断が必要です。

治療
可能であれば外科手術にて広範囲に切除することが第一選択となります。
しかし、術後の寿命は、一般的にはあまり長くなく、非常に厳しい病気です。
手術に加えて抗がん剤による化学療法を行うと、より延命効果が期待できます。
※抗がん剤は副作用(消化器症状、白血球などの血球減少症)が出ることがありますので治療中も定期的な検査、モニタリングが必要となります。

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