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9.犬の悪性リンパ腫
悪性リンパ腫とは、生体内のリンパ組織が腫瘍化してしまう悪性腫瘍です。
犬の全腫瘍の7~24%、血液系腫瘍の83%の割合で発生し、好発年齢は6~9歳(年齢範囲:6ヵ月~15歳)です。
この病気は、肝臓・脾臓といった種々の臓器にも転移しやすいです。
タイプ別の症状
①多中心型(80%)
複数の体表リンパ節の腫大、元気食欲低下、発熱、肝臓・脾臓腫大などがみられます。
多くは抗がん剤の治療により良好な効果を示します(60~90%)。
②前縦隔型(5%)
胸腔内のリンパ節の腫大がみられ、原発性としては5%程度ですが、多中心型の20%は胸腔内にも病変
があり、呼吸困難などの症状がみられます。
③消化器型(5~7%)
犬の腸に発生する悪性腫瘍として最も多く、潰瘍を起こしたり、場合によっては穴が開いたりすることがあります。
また消化管の内腔を閉塞し、嘔吐や食欲低下・血便などが認められる場合もあり、多くの場合化学療法の効果が低いです。
④皮膚型
発生するのはまれで、平均年齢は9.5歳です。
体表のどこからでも発生し、多数の病変ができることが多いです。
検査
血液検査、レントゲンやエコーなど画像診断、リンパ節の細胞・病理検査などが必要です。
治療
根治はできないため、抗ガン剤による化学療法にて臨床症状の改善と生存期間の延長を治療目標とします。
タイプにもよりますが、この病気は比較的抗がん剤に反応し、特に数種類の抗がん剤による治療がより良いとされています。
副作用(消化器症状、白血球などの血球減少症など)が出ることがありますので、治療中も定期的な検査が必要です。