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5.甲状腺機能低下症
甲状腺は、ノドのすぐ下あたりにある臓器で、そこから分泌される甲状腺ホルモンは体の代謝を活発にするホルモンです。甲状腺機能低下症は、そのホルモンの分泌が何らかの原因によって減少し、様々な症状を引き起こす病気です。海外ではレトリーバー系、ドーベルマンで多くみられますが、国内では際立った好発犬種はなく、年齢も1歳齢未満~老齢までと幅広く発症がみられます。
どんな事が起きる?
・元気さ・活発性がなくなり、顔つきもぼんやりとした感じ(悲劇的顔貌)になる
・寝ている事が多くなる
・寒さに弱くなる
・肥満
・色素沈着(皮膚の色素が黒く変化する)などを伴う脱毛
・生殖能力や性欲の低下
・徐脈
・歩様異常
・神経症状(発作、前庭障害、顔面神経麻痺など)
・貧血
などといった様々な症状がみられます。
検査
血液検査による血球検査・化学検査・ホルモン濃度の測定、その他症状に応じた検査
治療
甲状腺ホルモン薬の投薬が、ほぼ一生涯必要となります。そして、投薬後の血中の甲状腺ホルモンの濃度を定期的に測定しなければなりません。それは、投与量が少なすぎても効果が得られず、投与量が多い場合には甲状腺機能亢進症(低下症とは逆の病気)を引き起こす可能性があるためです。
早期発見、早期治療が大事で、放っておくと粘液水腫性昏睡やコントロールできない発作、寒冷期の低体温症などを引き起こし、緊急的になることもあるので注意が必要です。ただ、適切なホルモン補充療法が実施されていれば将来的な見込みは比較的良い病気なので、上記のような症状が気になれば、早めの受診をおすすめします。