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4.僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は老齢の小型犬に多い心臓の病気で、心臓の左心房と左心室の間に位置する僧帽弁が、なんらかの原因で変性し、閉鎖不全が生じるため、血流が逆流したりして起こる病気です。犬種では特にマルチーズ、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフント、シーズー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどに発症が多いといわれています。
どんな事が起きる?
初期段階では症状は無く、聴診の際に心雑音(血液が逆流する音)が聴取され、進行すると咳がみられたり、運動を嫌がったり、
激しい運動や興奮時に倒れたりする症状がみられることがあります。
さらに重症になると、呼吸困難やチアノーゼ(舌の色が紫色になる)などがみられ、時には肺水腫(肺に水がたまり、呼吸が苦しくなる病気)を起こし、死に至る場合もあります。
検査
胸部X線検査、心電図、心臓エコー検査、血液検査など
治療
症状や重症度で変わってきますが、基本は内科治療で、まずは心臓の負担を軽減するために血管拡張薬や利尿剤、状況に応じて心臓の収縮力を高める強心薬や、咳に対して気管支拡張薬、抗不整脈薬などを使用します。
また、肺水腫などによる緊急時には早急にニトロ製剤や利尿剤などの投与が必要で、更には入院化で酸素吸入が必要となる場合があります。
基本的には予防をすることや完治が難しく、最悪の場合、急死してしまう怖い病気ではありますが、早期発見により、投薬などを行って進行や症状の発現を遅らせることができます。よって、定期的に聴診などの健康診断を受けることがとても大切です。
自宅では、肥満に気を付け、ワンちゃんの運動時の様子や舌の色などのチェックを行い、咳をしたり運動をすると疲れやすいなどの症状がみられた場合は、
早めにご相談ください。
心雑音が発見されたり、症状が出ているワンちゃんは食餌療法(塩分を控えたフードなど)や必要に応じて運動制限を行い、
早期に心臓薬の投薬をスタートしましょう。投薬が開始したら、長い目で継続的に作用させていく必要性があるので、調子が良くなったからといって勝手な判断で投薬を中止しないようにしましょう。
また、自宅で安静時に呼吸数が1分間当たり30回を超えるようであれば肺水腫や胸水貯留などといった問題が引き起こされているかもしれませんので、
その時は早急に来院したほうがよいです。