兵庫県西宮市・夙川駅近くにある動物病院です。
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1.腫瘍のおはなし (1) ~もし、皮膚に「しこり」を見つけたら?
近年、動物を取り巻く環境が良くなり、長生きをするワンちゃん、ネコちゃんが
増えました。それに伴い病気も多く見られるようになり、その中のひとつとして
腫瘍性疾患が増加傾向にあります。
今回は、その中でも皮膚の腫瘍について簡単にお話ししたいと思います。
「昨日、うちの子を抱っこしたら背中にしこりがあるのを見つけて・・」
といったことで連れて来られる飼い主さんが多く見受けられるようになりました。
皮膚に「しこり」が見つかったら・・?
その時は、やはり早い段階での診察・治療をおすすめします。「しこり」といいましても、
中には腫瘍ではない「しこり」もよくあります。さらに腫瘍であれば良性か悪性かという判断が大事になってきます。
よく、「小さいから、まあ大丈夫かな・・・」と飼い主さんの判断で様子を見ていたら、
後で取り返しのつかない事になってしまうケースもありますので、外見を見ただけでは判断ができないことが多いです。
よって、まず中身がどういったものかを調べる検査として、針吸引などによる細胞診、病理組織検査が重要になってきます。
必要に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査なども行い、その「しこり」の情報をできる限り多く入手してから治療に入ります。
治療は外科療法、内科療法、化学療法などがあります。
どうすれば早期発見できるか?
皮膚腫瘍は、出来てすぐに目立った症状が出るのはまれですので、早期発見するには動物の体を日頃からよく触ってあげることが大事になってきます。
<実際にあったケース>
ワンちゃんの背中の皮膚に直径1cmぐらいのしこりがあるとのことで来院されました。
針吸引による細胞診検査を行ったところ、「良性の皮膚組織球腫」と診断されました。
この腫瘍であれば特別な治療をしなくても数ヶ月で自然消失することが多いので、
定期的に通院していただき、経過を観察した結果、約2ヵ月ぐらいできれいに無くなり、完全治癒しました。